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少年の涙 〜He's dream is peace〜

泣いていた。
僕はただ泣いていた。
泣かずにはいられなかった。
僕の回りにいる数分前まで人だった物体。
黒焦げになり今ではそれが誰であったのかもわからない。
倒壊し炎を吹き上げる家々。
泣き惑い路上をあてもなく駆け回る人々。
僕の腕の中で、まるで寝ているかのような、僕の妹。
僕の横で、血まみれになって倒れているパパとママ。
腕の腕の中の妹を見ると、まるで眠っているようにしか見えない。
僕の腕の中の妹から目を逸らすように僕は夜空を見上げる。
空にはまるで流星のような光の筋達。
美しく光輝く放物線を描くそれは、確実に人を死に追いやる兵器達。
人の作り出した、もっとも愚かしい物達。
放物線が僕の住んでた町に降り注ぐ度、大きな音と閃光が町を震わせる。
そしてまた人々の叫びにも似た声。
僕はただ悲しかった。
そして恐かった。
理解できなかった。
どうして僕達は殺されなければいけないんだろう?
僕達が何をしたというのだろう。
平和って、何なんだろう。
人間の愚かさと。
人間の欲望と。
そして間違えた正義感。
殺し合い。
束の間の平和を享受し。
そしてまた平和の為に殺しあう。
それが人間。
そう考えると、涙が溢れて止まらなかった・・・・・・。
FIN

少年の涙 〜He's dream is peace〜

あとがき
サーバー移転やら、PCが変わったりで、書いた日を正確に追跡できなかった作品です。
恐らく、イラク戦争会戦前(アフガニスタン攻めのときかな?)ではないかと思います。
戦争の愚かさと、それに巻き込まれた子供の話になります。
全体的に、ものすごい暗めの作品に仕上がっているのは・・・・・・
そうせざる得なかった、っていうところですか。
この作品を通じて、争う事の愚かさを知って欲しいです。
2007年 6月13日 AKI
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